『あっ!アルフ!無事だったか!?』

向こうからニムが走ってきた。

『やべ・・・ショコラ 隠れ』

『あ・・・あれ・・・ショコラさん??・・・アルフ・・・』

『・・・ニム 頼っ』

『逃げっぞ!アルフ!!こっちだ!!』

そういってニムが走っていった。

アルフとショコラはニムの後を追った。

『ニム すまねぇ 巻き込んで・・・』

走りながらアルフは言った。

『あぁ・・・いいよ・・・後で謝りたいことがあるんだ・・・』

『・・・謝りたい?』

『だから後で話すから!今は逃げることだけ考えてくれ!!』


城を抜け出し、後は街を抜けるだけだ。

城門から街の出口までは少し距離がある走って5分ってところだ。

息を切らしながら3人は走った。

『二人とも もうすぐだよ!』

ニムが後ろの二人に向かって言う。

アルフは走りながら左右を見た。

真夜中 普段は消えてる明かりがついている。

窓から城を見る者。外に出る者。

意味の解らない言葉を連呼して喜ぶ者。

国に残った人皆がこの瞬間を待ち望んでいた。

アルフは一回大きく息を吸って大声で言った。

『この馬鹿王がぁーーー!!!ザマミローー!!!』


やっと街を出た3人は少し離れた所の大木で休むことにした。

ここからだとよく状況が見える。

反乱軍 いや 解放軍と読んだほうがいい。

解放軍が圧倒的に押している。

数人だが街から逃げる警備兵もいた。


『とうとう 堕ちるなぁ・・・これから何処行くんだ?』

『このまま隣の村にでも行こうと思う。そこに俺の知り合いもいるし・・・
そう言えば・・・謝りたい事ってなんだ??』

『あ・・・あぁ〜・・・うん。実は・・・』

ニムが何かを言おうとした瞬間 大きな音がした。

『い・・・イテェ!!』

ニムは足を押さえながら倒れた。

アルフとショコラはニムの元に走った。

ニムの足が何かで貫通していた。

『ニム!大丈夫か!?』

『ちょっと・・・痛いかな・・・』


『この裏切り者が』

振り向くと銃(リボルバー)を握り、近づいてくるローレンがいた。

物凄く怖い顔だった。

『脱国だけでなく囚人まで連れて逃げるとはな・・・。
お前たち覚悟は良いだろうな?』

そういって銃を構えるローレン。

『ま・・待って! ローレンさん!ショコラさんは無罪だ!何もしていない!』

『王の暗殺未遂 あの短剣が証拠だ』

『違う!あれは・・・俺が用意したんだ!!俺が王を殺そうとしたんだ!!』

大声でニムは言った。

『今日の夜中に計画をしていたんだ!短剣を土に被せて隠してたんだよ!
ショコラさんは巻き込まれただけだ!!』

『に・・・ニム・・・』

『ごめん!ショコラさん!!俺っ 怖かったんだ!!! 許せなんか言わない!!』

大声で大泣きしながらニムは言った。

ショコラは何も言わず首を横に振る。


『どの道 お前達は死刑だ。国を見捨てた罪は重い!』

『ローレン!今の王にそこまでして気に入られたいか!?』

『うるさい!』

『昔のお前はそんな奴じゃなかったぞ!そのムカツク口調は変わってないがな!』

『黙れ!』

『現実を見やがれ!もう国は堕ちる!』

『堕ちやしない!俺が国も王も守る!』

『ローレン!その考えは捨てろ!!』


大きな音が一発。

アルフの足を貫いた。

暫くふらついて、アルフは倒れた。

『もう俺には・・・こうやって生きるしかないんだよ・・・』

ローレンは銃に弾を込める。

『アルフ お前には解るまい・・・』

ローレンは銃の撃鉄(ハンマー)を起こした。

『お前は最後にしてやるよ。』

銃をショコラに向ける。

『・・・お前から先に消す・・・』

ゆっくりと引き金を引く。


『・・・なんだと・・・』

『・・・あっ・・・・あぁ・・・』

『・・・ショコ ラ・・・大丈夫かい・・・』


NEXT