『今日は冷えるなぁ』
『あぁー、特に真夜中あたりは冷え込むぞ』
『良かったー 俺牢番じゃなくて』
『外の警備以上に冷えるからな』
『囚人も大変だろうなぁ』
外で話していた奴らが言ったとおり、
冷たい風が容赦無しにふく。
『へくしっ!マジで寒いなぁ・・・ショコラ大丈夫かな』
牢の中にも一応薄い毛布はある。
けどこの寒さじゃあ効果は無い。
アルフは自分の部屋から毛布を取り牢に向かった。
薄暗い道も今夜は凄く冷え込んでいた。
『せめて松明ぐらいは置いて欲しいよな・・・』
左右の壁を見ながら愚痴をこぼす。
寒さで懐中電灯を持つ手が細かく揺れていた。
『ショコラー 毛布持ってきてやった・・・・ぞ・・・』
ショコラはさっきの場所を動かず 泣いていた。
『しょ・・・・ショコラ?』
アルフは牢の鍵を開けて中に入った。
『・・・アルフ・・・』
『ショコラ それじゃあ冷えるから この毛布を』
アルフが毛布を渡そうとした途端 ショコラはアルフに抱き付いた。
大粒の涙でアルフの服もグシャグシャになった。
『あ あたしは!死にたく 死にたくないよ!!』
『・・・』
『あたしはまだ やりたいことがっ!いっぱい いっぱいあるんだっ!!』
『・・・あぁ・・・』
『まだ 死にたくない!!死にたく ない!!あぁぁぁぁぁぁっ!!!』
今のがショコラの本当の気持ちだ。
誰だって殺されたくない。
殺されるってどんな気持ちなのか。
アルフには何となく解った気がする。
『・・・ショコラ・・・ごめん・・・俺に力があれば・・・・・・ショコラ?』
ショコラは抱きついたまま寝てしまっていた。
『・・・一瞬真面目になっちまった・・・』
『いけね また寝ちまった。 ん?空気が暖かい??』
冷たい空気がいつもより暖かく感じた。
アルフはショコラの手を外して外の様子を見に行った。
真夜中に真っ赤な光が城を包んでいる。
反乱軍の攻撃だ。
中に居た警備兵も出ていったらしい。
城の警備はかなり薄くなっていた。
『とうとうか〜 ザマミロだな。って言うか俺もやばいんだよな・・・
コレはチャンスだな』
アルフはニカッと笑って牢へ向かった。
アルフは寝ているショコラを起こした。
『わふっ・・・ !! いや!! 私は死にたくない!!』
『落ち着け 俺だっての。』
『あ・・・アルフ・・・チクワ?』
『チクワじゃないっての』
アルフはショコラを牢から引っ張り出した。
『反乱軍の攻撃だ。ここに居たら巻き込まれる』
『えっ!?本当!?・・・なんか空気が暖かいね?』
『だから逃げるぞ。今なら警備も薄い』
アルフはショコラの手を引っ張って走った。
時々城全体が大きく揺れた。大砲が直撃したんだろう。
大きな揺れの後 熱い空気が牢へ続く通路に吹き込む。
『あちぃ!! 外だぞ ショコラ! ここからは気をつけろよ』
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