『何だってぇーーーーーッ!!!?』

アルフの声が城の外まで響いた。

アルフは何度も紙を読み直した。

紙を下に投げつけてニムの襟を掴んで言った。

『ニム!これどういうことだ!?王の暗殺ってなんだよ!?』

『な・・・何度も読み返したわりにはちゃんと読んでないじゃないかぁ
理由はそこに書いてあったはずだけど・・・』

そういわれてアルフは紙を拾ってもう一度良く読んだ。

『その子が捕まったすぐ傍で短剣が見つかったんだ』

ニムが襟を整えながら言った。

『その子が暗殺しようとしたって解らないじゃないか』

『俺だって解らないさ。でも捕まる奴は殆どが反乱軍の人間だし、
そう考えてもおかしくないだろ?』

アルフは暫く紙を睨んだ。

そしてまた紙を下に投げつける。

『アルフ・・・もしかしてだけど・・・あの子に コレ?』

ニムは小指を立てた瞬間 アルフの拳骨一発。

ニムはその場で気絶してしまった。

『・・・ショコラに何て言えばいいんだよ・・・』


『アルフ お帰りぃ』

『おうよ ただいま!』

とりあえず元気だぜのアルフを演じた。

『ショコラ チクワ いるか?』

『いる♪ さっき食べた朝食美味しくなかったしね!』

ショコラが笑顔を見せるたびにアルフの胸は痛んだ。

刑のことを言うタイミングが難しい。

でも言わないといけない。

アルフは一回頷いてショコラを見た。

ショコラも貰ったチクワを口に銜えながらアルフを見た。

『いえねぇぇーーーっ!!!!』

『な 何? 何!?』


『アルフー もう昼だけど、あたしは何時出られるの?』

アルフは何も言わずポケットから紙を取り出した。

ニムから貰ったあの紙を。

ショコラは紙を広げて読んだ。

・・・段々紙を持つ手が震えていく。

『そう言う事だ・・・出られないんだ・・・』


『それだったら早く言ってくれれば良いのにー』

意外な反応にアルフは戸惑った。

ショコラは何故か笑顔だった。

『後2日かー もうちょっと長くならないかなぁ』

『な・・・なんで? 俺 前みたいに大声で冤罪だぁーって叫ぶのかと・・・』

『叫んでも今の王政じゃあ何にもならないし、
出してくれるってわけでもないし。残された時間を楽しめってねw』

ショコラに更に戸惑うアルフだった。

そしてショコラは笑顔でこう言った。

『チクワもう一本♪』

その笑顔がまたアルフの胸を痛くする・・・。

ショコラは笑顔のまま言った。

『アルフ 何か楽しいことしない?』

『そ そうだなぁ・・・トランプでもやるか』


牢を照らす懐中電灯。

その光で三人の影が出来ていた。

アルフ ショコラ そしてニム。

『やったー!5勝目♪』

『うわぁ〜 君強いなぁ 俺まだ一回しか勝ててないよ』

『6回やって一回も勝ててない俺 ナハハハ』

すでに夜。

楽しい時間はすぐに過ぎてしまうものだ。

『俺 そろそろ行くな』

『すまねぇ ニム。遊びに付き合わせて』

『良いんだよ。結構楽しかったし なはは』

ニムがアルフの笑いを真似た。

『全然似てないっての なははは』

そんな二人を見てショコラは楽しそうに笑っている。

ニムが去った後も二人はトランプを続けた。

が、なかなか勝てないアルフ。

『あぁーーっ!全然勝てねぇー!!!』

『アルフ 弱すぎ♪ そろそろやめよっか。もう遅いし』

『ちぃ 勝ち逃げかよ・・・まぁいっか』

アルフはトランプを片付けて牢の外に置いてある机の上に置いた。

中に戻って懐中電灯をとる。

『それじゃあ また明日な。』

『うん また明日』


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