混ぜ込みストーリー:第二話

「自己紹介がまだだったね」
マサルが言いました。
「だな」
アサシンが頷きました。
「俺は・・・まぁ、見ての通り魔剣士だ。名前はマサル。コイツはYoshiokaっていうアサシン」
「ぃよろしく」
男二人は仲良さげにそう言いました。
レトナとシレイはそれを適当に耳にいれつつ、あらためて二人を見ました。

=レトナの思考=
年齢は二人とも若すぎず老けすぎず・・・まぁ、良い感じ。
剣士の方は頭良さそうだけど、アサシンは・・・何か軽そうな感じー。
二人とも背が高いなぁ・・・うん。アサシンは私と同じくらいかな・・・剣士はもっと高い・・・
剣士は軽量魔合金の鎧に・・・バスタードソード・・・? にしては刃が薄い気がするけど・・・
改造かな・・・。銀髪が綺麗ね・・・男にしては長髪が似合ってるし・・・うん。
アサシンは金属類の鎧はつけてないみたいね・・・関節部分を補強している程度か・・・
丈夫な布・・・ん、ミスリルの糸で編んであるのか・・・意外と丈夫そう・・・。
ダガーにしては大きいけどソードにしては小さい・・・刃を足したのか削ったのか・・・
それも、右と左で二本ずつ・・・計4本で全部性質が違うみたいね・・・なかなか賢いじゃないの。
でもボッサボサの髪ね・・・清潔感が無いわ・・・茶髪も何かまだら模様だし・・・変なの・・・。
でもまぁ、二人とも前衛として役に立ちそう♪
肉の壁肉の壁♪

=シレイの思考=
二人とも・・・背が、高い・・・・。
銀色の髪の人は優しそうな眼をしてるけど・・・茶色い髪の人は何だか怖い・・・。
銀色の髪の人は何だか良いにおいがする・・・香水かな? 冒険者なのに香水だなんて・・・いいなぁ・・・
お金持ちなのかな?お洒落さんなのかな?あ、こっち向いて笑ってる・・・は、恥ずかしい・・・。
笑顔も爽やかで何かいいなぁ・・・。ちょっとお兄ちゃんに似てるかも・・・。
茶色の人は・・・髪ボサボサだし気怠そう・・・服もあちこち破けてるし・・・。
・・・。銀色の髪の人だけでいいかな・・・。

=マサルの思考=
おお、二人とも若くて可愛いなぁ♪
これは報酬以上に楽しませて貰えそうだ♪

=Yoshiokaの思考=
ねみぃ・・・。
昼間っから酒呑んでたのが悪かったかな・・・うぐぅ・・・。
あ? 何だ? このちっこいエルフのお嬢ちゃんは人見知りが強いみたいだな・・・
頭も起きてからそのままだし・・・。報酬さっさと貰ってゆっくり休暇でも取るか・・・。
っつーかこの赤髪の女強ぇなぁ・・・。赤い眼からして人間じゃなさそうだ・・・。

「それで、俺らは何をすればいい?化け物退治?人助け?戦闘インストラクター?夜伽の相手?」
Yoshiokaは冗談めかして言いました。
「戦闘インストラクターと夜伽の相手は少なくとも違うということを頭の中に入れておいて、ようは敵を倒せば良し」
レトナはキッパリ言いました。
「分かった。それで・・・、どこの魔物を?」
マサルが尋ねます。
「さぁ?それを聞こうとしたらギルドのマスター逃げちゃったし・・・適当にその辺でうわさ話でも拾うのがRPG
 でしょ?」
レトナはあくまで行き当たりばったり思考で言いました。
「了解。まずは情報収集ということですね」
マサルは爽やかに了解しました。Yoshiokaもへいへいと気怠そうに了解しました。

「何?悪さしてる魔物?そーねぇ最近畑が荒らされてr・・・・」
「魔物による被害?ふむ・・・そうじゃな・・・家の裏の畑が荒らされt・・・」
「あ?魔物が何か悪さしてないかって?そうだな・・・畑が荒らされてるk・・・」
「畑が荒らされt・・・」
「畑があr・・・」
「畑g・・・」
「はt・・・」

「・・・畑が荒らされてるって・・・大方タヌキか何かでしょうに・・・はぁ・・・」
情報収集が大嫌いなレトナは広場のベンチに寝転がって休憩をしていました。
「そ、そんな・・・魔物の被害が無いことは平和でいいことじゃ・・・」
単独行動が苦手なシレイもレトナに付き添って休憩をしていました。ベンチに座ってレトナに膝枕をしていました。
「そりゃそうだけどさぁ〜・・・私ぁ刺激が欲しいのよ!」
レトナは右手で拳を握りプルプルと震えます。シレイはただひたすら困った顔をしていました。
そんな時、
「や、そっちは情報集まった?」
マサルが帰ってきました。
「畑がどうのこうの」
レトナは力無く答えました。その答えにマサルは苦笑して頭を掻きました。
「俺も情報収集は得意じゃ無くて・・・」
そう言いながらマサルはシレイに視線をやりました。先程から何かぶつぶつとつぶやいています。
「スェープ・・・パリエ・・・スェープ・・・パリエ・・・スェープ・・・パリエ・・・」
スェープとは相手を眠らせる魔法、パリエは相手を目覚めさせる魔法、マサルは訝しげにその光景を見ていました。
「スェープ・・・パリエ・・・・・・あ、えっと・・・レトナはこの『眠くても寝れないようなもどかしい快感』が
 大好きなので・・・時々こうしています・・・」
シレイはそう言いました。
「そうそぅ・・・」
レトナも寝言のように言いました。マサルはそうかいと適当に流してからポリポリと頭を掻きました。
そんな時、
「うぉーい、帰ったぞー」
Yoshiokaが帰ってきました。
「・・・昼寝か?こっちは汗水たらして情報収集してきたってのに・・・」
Yoshiokaはレトナを見て顔をしかめつつ言いました。
「んあ、ゴメンゴメン・・・んしょ・・・癖で(?)」
レトナはむくりと起きながら言いました。そしてすぐ眠たい気分を断ち、普通の思考を取り戻します。
「んで、その汗水垂らして手に入れた情報ってのは? 畑がどうのこうのってのは却下ね」
「いや、その畑がどうのこうのって話なんだが・・・」
レトナははぁ、と溜息をつきました。しかしYoshiokaは得意げに鼻を鳴らして話を続けました。
「・・・だが、面白い話がついてきた」
それを聞いたレトナは首をシャキっと正しました。ゴキっと音がしたのは御愛嬌。
「どうやらこの近くに堕天族の類が居るみたいだぞ」
「何ですってぇ?!って、ぅわっちぇああ!!」
ゴン!
レトナは大声で言いながら足を滑らせて転びました。まだ寝ぼけていたことは秘密です。

「アイタタタ、それで・・・、希少な目撃情報と証拠品の羽・・・っと・・・ふむ・・・確かに魔力があるゎ・・・」
手渡された証拠品をまじまじと見ながらレトナは呟きました。
「でもこんなことして報酬はどこから貰えるんだろ・・・」
レトナはポツリと言いました。
「さぁ?感謝状でも貰えるんでない?それとも堕天族からレアアイテム・・・♪」
Yoshiokaが眼を細めて言いました。色々と妄想にふけっているようです。
「いいなぁ・・・レアアイテム・・・♪」
軽く涎がれそうな怪しい表情を見たシレイは、この人は確実に危ないと判断しました。納得できる表情でした。
「それじゃ、行きますか・・・えーと・・・目撃情報のある北東の山に」
「そだね、さっさと片そう」
こうして、4人の堕天族討伐が始まったのです。


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