作:マサル


雲ひとつ無い天気だ。
一面青空で太陽が眩しく輝いている。
その光が教室を明るく照らす。
そんな空を俺は黙って見ていた。

『こらっ 余所見をするな』

軽く頭を叩かれた俺は振り向いた。
本を棒みたいにして持った先生が立っていた。

『全く・・・テストが近いって言うのに。授業に集中しないと駄目じゃないか』

深くため息をつく先生。俺は何も言わず頷いた。
更に深くため息をついたは教卓に戻りながら何かブツブツ言っている。
先生は教卓の前に立ってクラス全員に聞こえるように言った。

『君達 もう来年は3年だぞ。今のうちに進路とか考えておかないと
間に合わなくなる。
「あいつ」のようにぼぉーっするんじゃないぞ!』

そう言って先生は授業を続けた。

『・・・受験か・・・』



下校時 雨が降っていた。
天気予報では晴れだったのに・・・。
当然 傘など持っていない。
俺は鞄を傘代わりにした。
まぁ 守れるのは頭ぐらいだが 濡れないだけマシだろう。
そんなに強い雨でもないし。



そう思っていた俺が馬鹿でした。
雨は少し少し強くなっていった。
俺は何処か雨宿りになるところはないか探した。
と誰かが土手に座って空を見ている人がいた。
俺は何となく近づく。

青に近い緑色の髪をして薄いローブ。
目も髪と同じ色していた。
登下校同じ道を通るがこんな子は初めて見た。
不思議なことにその子の周りは全く雨には濡れていない。
そして俺も雨に当たっていない。
正直言って 不気味だ。
暫くぼぉーっと女の子のことを見ていた。

『この雨は何時止むんでしょうね?』

っと女の子が言った。
俺に言っているんだろうか?
黙っていると女の子はこっちを見た。
互いに視点があった。

『・・・俺に言ってんの?』

『あなた以外いないじゃないですか』

そう言って女の子は微笑んだ。
一瞬 俺はその笑顔に轢かれた。
だが『不気味』の3文字はそのままだ。

『傘忘れたんですか?』

って言うか見たわからんか?
とりあえず俺は頷く。

『私の側に居れば 濡れることは無いんですけどね』

俺はそこが知りたいよ。
何故君は濡れないんだい。
もしかしてお化けか?
色々考えていると女の子が言った。

『立ってると足痺れませんか?一緒に座りましょう』

確かに痺れてきた。
俺は女の子から少し間を空けて座った。

女の子はぼぉーっと空を見ていた。
俺も同じようにぼぉーっと空を見る。
晴れることなく黒い雲が空を覆っている。
雨の音だけが聞こえる。
時々雨にまぎれて車が走る音が聞こえた。
数分の時間が流れた。

『空は好きですか?』

女の子が言った。
俺しか居ないから俺に言っているんだろうな。
俺はしばらく間を置いて 首を縦に振る。

空を見ていると 気持ちが落ち着く。
疲れた時や嫌なことも忘れそうになる。
嫌なことがあったときはいつも空を見る。

『私も失敗した時とかは空を見るんですよ』

そうかい。って俺何も言ってないぞ。
俺の心 読まれたのか?
ますます不思議な人だ・・・。

『だいぶ雨も弱くなってきましたね』

『・・・そうだな・・・』

『・・・あの 空を飛んでみたいと思ったこと無いですか?』

そりゃあ 飛べたら素敵だろうな。
空を飛んでいる鳥達を見ていつも思う。
どんな気分がするんだろうと。

『あるよ』

きっぱり言ってやった。
女の子は ニコッとして俺を見た。
そして言った。

『じゃあ 一緒に飛びますか?』

俺は自分の目を疑った。
淡い緑色をした大きな翼が女の子の背中にあった。
それ 本物? らしい・・・。
俺はやっと天使だってことを理解した。
・・・まじかよ・・・

天使は俺の手を握って言った。

『しっかり捕まっていて下さいね』

『ちょ・・・ちょっと待ってく・・・』

ぶわっと強い風が吹いたかと思った瞬間。
俺は飛んでいた。
どんどん建物が遠ざかっていった。

が、不覚にも俺は酔ってしまったから
風景を楽しむ暇など無かった。

近くの山の高い木の上で俺は休んでいた。

『ご ごめんなさいっ つい調子に乗っちゃって・・・』

『まぁ・・・良いってこと・・・それなりに楽しめたし・・・』

気分が落ち着いた俺は俺の住む町を見渡した。
雨もすっかり止んで雲も晴れてきた。
太陽の光が雲の間から町を照らす。
そんな風景を俺はじっと見ていた。

『俺の知らない町に見えるな。』

『えっと・・・スッキリしました?』

俺は首を縦に振った。
天使の顔はパァーッと明るくなって喜んだ。

『ありがとな』

俺は顔を赤くしながら言った。
こう見えても俺は結構照れ屋だ。

『どう致しまして』

天使は笑顔で答えた。

『次 空飛ぶときは 俺酔わねぇようにする』

空を見ながら俺は言った。


木から降りた俺は聞いた。

『なぁ 自己紹介まだだったよな』

俺から名乗るべきなんだろうな・・・。
こんな時は・・・。

『私はフロー まだ見習いの天使だったり・・・』

『フロー・・・か・・・俺は清水。 フロー 頑張って一人前に天使になれよ』

『清水さんですね。はい!お互い頑張りましょう!』


最後に また会おう と交わしてフローは空へ帰った。
俺は家へと向かう。
何度かフローが行った方向の空を見る。
空はオレンジ色になり、鳥たちも山に帰っていく。


私はペンを置いて 背伸びをした。
そして窓を開けて今日の空を見る。
オレンジ色をした空 とても綺麗だ。
空を見ていると 気持ちが落ち着く。
暫く眺めて 私はまた背伸びをする。



後書き

文化祭のお題『空』で考えたネタ。
コレを漫画にするつもり・・・w
が意味がわからなくなった・・・
大丈夫だろうか・・・??


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